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| 正春的絶対絶命!露天風呂!! | ||
★野沢温泉のMAPはこちら![]() 信州は二回目の二人。 遊び疲れ?で「ゆっくりしてぇ」という正春に綾子は温泉旅行はどうかと提案しました。 学校にバイトに遊びに、何かと忙しい二人で、デートらしいデートも最近はしてませんが、 一緒に旅をするごとに二人の思いが深まっていく…綾子はそんな気がします。 混浴露天風呂で正春大ピンチ?! |
前回までのあらすじ(詳しくはこちら) 実は前回、黒姫の旅行の際、アヤコとの露天風呂作戦に失敗したマサハル。 すっかり信州ファンになったアヤコが野沢温泉に行こうと言い出したので、これはチャンス到来!と意気込んでいる。 さあ、マサハルの露天風呂リベンジなるか?! 「やっぱ、ナビつきは楽だな」 「そうだね、道のことでケンカしなくて済むし」 「だいたい、おまえが地理音痴なんだよなー」 「マサハルこそオレに任せろっていうくせに、わからなくなるとすぐ私のせいにするんだから!」 相変わらず仲のよい二人。 「野沢温泉といえば、岡本画伯の描いたあの字」 「うんうん、湯、ってのでしょ?」 「お、ちょっとは勉強してるじゃん」 「まあね」 野沢温泉村の方々に湧き出す湯は温泉となって村の暮らしを支えている。 冬のスキーシーズンに有名なのはもちろんだが、春から夏にかけての野沢の自然は躍動感にあふれ、外湯めぐりと夜のそぞろ歩きには適した気候で、密かに人気が高い。 「ね、水着もってきた?」 「うん、持ってきたよ」 二人が向かう野沢温泉アリーナは流水プールなどがあるレジャーパークで、一年中遊ぶことができる。 肌が比較的弱く、海では十分楽しむことができないアヤコにはもってこいだ。スキーにスノーボード、サーフィンにスキューバダイビング、スポーツはなんでもこなすマサハルに比べ、アヤコはスポーツは苦手なほうだ。唯一、小さなころから得意だったのが、水泳。海に行って焼いたりするより、純粋にプールで泳ぐことが好きなのだ。 女の子の水着姿は見慣れてはずのマサハルも、アヤコの水着姿を見ることができると思うと、ちょっと、嬉しい。 「じろじろ、見ないでよ!」 「見てねえよ!」 「見てるじゃん!」 「見てねえよ!」 「ふうんだ、どうせデブだと思ってるんでしょ?!」 「思ってねえよ!」 「いいもん、どうせ、アヤコはブタさんだもん!」 「ブタなんて言ってねえだろ!」 「目が言ってるもん!」 「女の子は少しポッチャリしてるほうがかわいいんだぜ!」 そう言い放ってマサハルはプールにいきなり飛び込んだ。 「はやく、来いよー!」 「もう、マサハルのやつっ!」そう言いながらもアヤコは嬉しそうに自分もプールに飛び込んだ。 『野沢温泉ホテル』 は落ち着いた雰囲気の宿。プライベートを重視したい旅行客にはぴったりだろう。24時間利用できる大浴場をはじめ、混浴露天風呂と婦人露天風呂も人気が高い。100%源泉のお湯は適温で肌にやわらかく、入れ始めは無色透明だが、時間がたつと瑠璃色に変化する。 季節の素材を使った旬の料理は、一品一品丁寧につくられ、様々な年代のひとに満足してもらえるよう配慮が感じられる。 「そう、東京から来たの?」 「はい、今日は温泉アリーナで遊んできたんです」 「いいわね、若いひとは」 「えー、女将さんだって、肌すっごい綺麗っすよ!」とマサハルはお世辞じゃなくそう思った。 「あら、上手ねえ。こんな、化粧もしてなくて…」 「えー?!!ファンデーション塗ってないんですか?」 「そう。温泉の効果かしらね。髪もリンスもしなくて平気なのよ」 「すっごーい!」と二人は声をそろえてのけぞるほど驚いた。 「やだ、そんなにびっくりしなくてもいいじゃないの」と明るく笑う女将さん。 「えー?!!高校生のお子さんにらっしゃるんですかあ?!!」これまたびっくりの二人。 「すげえよ、女将さん…」マサハルは感心している。 ![]() 「ほんとだね。温泉って効果抜群なんだ」 「…温泉っていえばさあ!」急にマサハルが妙に大声で言う。 「うん、なに?」 「風呂さ、ここ、露天風呂、あるんだって」 「そうそう!いいよね、今の時期湯冷めもしないしさ」 「うん、そうなんだよね…。行く?露天」 「行こうか」なんの屈託もなくアヤコが答える。 (やった…!)マサハルは心の中で自分と握手をした。 (今日こそは)とマサハルは気合を入れた。 「あ、いっけね、オレ、パンツ忘れちゃった」 「取りに行く?はい、鍵」 「うん!アヤコ先入ってな」 「わかった」 パンツなんかは忘れていない。先に入らせたほうが、アヤコが恥ずかしくないだろうと、マサハルなりに気を使ったのだ。 ロビーにもどり、時間稼ぎをしていると、女将さんが来て「何か?」 「いえっ!何も、何も!」 マサハルはいそいそと露天風呂へと向かった。 「混浴、露天風呂、か…」思えば、前回黒姫への旅をしたときに、アヤコを説得しきれず貸切露天風呂はあきらめた。ここの露天風呂なら、バスタオルを巻いて入ってもいいので、アヤコにも抵抗がなかったのだろう。 期待で自然とゆるむ頬をひきしめながらマサハルが「混浴露天風呂」に入っていくころ、アヤコは「婦人露天風呂」にゆったりとつかっていた。 「ま、オレも、タオルぐらいは巻かないとっと。今夜は離さナイト!なんてね」 お馬鹿だ。 一呼吸おいて戸を開けた。 「ん、んん!」咳払いなんかしてみた。 「あらあっ!」 「え?!」 「あらあら!ちょっと、あんた若いおにいちゃんが来たわよ!」 「まあま!ほんとだわ!若いわ!」 マサハルはその場に立ち尽くした。これは一体どういうことだろう。 「ささ!入んなさいな、いいから、いいから!」 「え?いや…僕は」 「いいじゃないの、さあさあ!」 「あっ!ちょっ!足をつかまないで!」 「だいじょぶよ、私らタオル巻いてんだからさ!気にしないわよ!」 ![]() 「いや、僕が気にしたりして、ちょっと、ひっぱらないで」 湯船につかっていたのは、マサハルの母親より一回り上の年齢のおばチャン三人。 皆、健康そうで、そう、マサハルの好きなポッチャリタイプではあるが…。 「わっ!あの、僕は彼女と」 「えー?いないわよ、女の子なんてさ」 「いるじゃないの、ここに、三人も!」 ぎゃははははは!と一斉に笑う。なんてことだ。 「ここのお湯は最高だよ!さ、はいんなってば!」 「ああっ!」ひっぱられて足をすべらし、湯船に頭から落ちたマサハル! 「あら!おにいちゃん、だいじょぶ?!」 「ちょっと、あんた!」 ぶはっと顔を上げたマサハル。周りをかこむ三人に圧倒されて動くこともできない。 見れば腰に巻いたタオルは取れ、手の届かないところにぷかぷかしている。 「だいじょぶかね」 「はい、はあ、あの、僕のタオル…」 「だから、最初から素直に入ればよかったに」 「はい、あの僕のタオ…」 「瑠璃の湯はいいお湯でしょうが」 「私らは毎年ここに泊まりにくるんだよ」 「もう何回目かね」 「もう、10回は来たでしょうが」 「そうですか、僕のタオルが…」 「富ちゃんが、手術したあとが最初だったから、あれはねえ」 「あら、じゃ、13回はきたね」 「そうだね、じゃ、10歳のときから来てるんだね!」 ぎゃははははは!とまた一斉に大笑いする。ちっとも面白くない。 生きた心地のしないマサハルは、どうしてこんなことになったのだろうかと、ただ、首までお湯につかって、愛想笑いをつくってはうなづいているばかりであった。 「ただいま…」 「マサハル!遅かったね。ずいぶんゆっくりしてたのね。全然でてこないからさ、女将さんに鍵開けてもらっちゃった…。ちょっとだいじょうぶ?」 「だいじょぶじゃない」 どさっと畳に倒れこむマサハル。いったいアヤコはどこにいたのだろう。確かに露天風呂にいくと言っていたのに。 「長湯するからだよー。混浴露天風呂はどうだった?」 「うん、あれ、アヤコ…さあ」 「婦人露天風呂は混んでたよ。やっぱ、女性だけだと気楽だから、みんな入るみたいだね」 「婦人、露天風呂?」 「うん。でも、ゆっくりできたよ。あのね、東京から来てる親子がいてね、その子が私の卒業した中学でさー…」 (婦人、露天風呂。混浴、露天風呂、あれ?) 目の奥にあらわれた黒い点がどんどん広がり、すうっと気が遠くなっていく。 「ちょっと!マサハル!マサハル!」 (終わった…。オレの露天風呂作戦は終わってしまった) 夕食のあと、気を取り直したマサハルは地元でも人気のショットバーにアヤコを連れていくことにした。ショットバーは高いというイメージだったが 『STAY』 はリーズナブルな値段で楽しめるというので安心だ。 今日は生バンド演奏もあり、雰囲気も満点。若いマスターで東京からきたというと、気さくにいろんな話をしてくれた。 素朴な丸太や木の家具が心地よい酔いを誘う。アヤコの顔がほんのりと赤らみ(かわいいな)とマサハルは思った。 「ちょっとマサハルしっかりしてよー!」 「あれ、ここどこ?」 「どこじゃないわよ、もう!あとちょっとでホテルだからね!」 「アヤコ、ごめんねー、オレ酔っちゃったよ」 「ほんとだよ…。そぞろ歩こうなんて言って、歩けないんじゃさ!」 「アヤコちゃん、許して」 「はいはい」 マサハルを背負うようにしてアヤコはホテルへの道を必死で歩く。 こうして女の子はたくましくなっていくのですね。 翌日、きのうできなかった温泉街そぞろ歩きをする二人。 「あ、おまんじゅう!」 「見つけるのはやいな」 「ね、たべようよ!野沢温泉の温泉まんじゅうって一味違うって有名じゃない。それに大きいしさ」 『フキヤ』
のまんじゅうは「まんじゅう」じゃなくて「まんぢう」。地元でも観光客にも有名な老舗だ。皮は小麦粉とたっぷりの卵で、アンコは北海道十勝産の小豆のみを100%使用している。 「豆は穀物。ねっとりより、ホックリがいい」とご主人のお話。 ![]() 毎日同じ味を作り続けることは大変なことだと言う。 「わあ、いい匂い」 「なんとも言えないね、この蒸気の香り」 温泉まんじゅうの美味しさは蒸気の香りでわかるという。 温泉まんぢうの他にも、手が空いたときにつくる「田舎まんぢう」もあんこたっぷりで美味しいと隠れたファンが多い。 野沢温泉街は坂道の両脇に、おまんじゅう屋さんはもちろん、土産店が軒を並べ、歩くだけで楽しむことができる。アヤコはお土産に
『福田屋』
のジャムを買っていくことにした。「りんご、杏、桃、プルーンにブルーベリー、あ、いちごも買っちゃおうっと」 「それ、全部自分の?」 「違うよ、家に、サチとクーちゃんと、マユリでしょ…」 「わかった、わかった」 福田屋には野沢菜漬けもあり、あっさり漬けは一年を通して販売しており、冬季には大好評の自家製の本漬け野沢菜もある。「今年はオレがボード教えてやるから」とマサハルが言った。 「次は温泉卵食べる!」 『黄金屋物産店』
は麻釜にある土産物店。店頭では麻釜でゆでた温泉卵やとうもろこしが売られている。野沢を支える元気なおかあさんたちが笑顔で迎えてくれる。 「遠慮しないで味見して!」と明るく声をかけてくれる。 「味見してみなきゃわからないもんね!」と本当に気さくだ。 アヤコは温泉卵のむきかたを教えてもらっている。マサハルは卵の黄身の鮮やかさにびっくりしてしまった。 65度で約15分、麻釜で茹でるとろとろの温泉卵。マサハルはアヤコが5個目に挑戦しているのを横目で見ていた。 「猫だっ!」「にゃーお」 猫に誘われて入った 『ビリケン食堂』 。昔なつかしい感じにほっとする。 「へえ、手打ちそばもあるんだね」 「おれ、ピザにしよっと。温泉卵ときのこのピザ」 「あ、それいいね」 「アヤコ、温泉卵5個も食べただろ」 「そんな食べてないもん!」 「食べたよ!」 ![]() 「食べてない!」 「食べてましたー!」 「食べた…もん」 アヤコはご主人の手打ちのそばをいただくことにした。ヤマゴボウの葉を煮詰めて繊維だけをとり、粉にしたものをつなぎに使用している。手間のかかる作業だ。 「歯ごたえがしっかりしていておいしいよ」 「ちょっとちょうだい」 「ピザもちょうだい」 「おまえホントよく食べるな」 「そう?」 「はじめはそうじゃなかったよな」 「そう?」 「そうだよ」 「だってさ、マサハル、前に言ったじゃん」 「なんて?」 「よく食べる子好きだって!」 「言った?」 「言ったよ」とピザにかぶりつくアヤコ。 そうだったかなあ、マサハルは考えていたが、アヤコの幸せそうな顔を見て (ま、いいか)と思った。 (たくましくなくっちゃ、酔ったオレを運んでもらえないもんな) 「アヤコ、全部食べていいよ!」 「まじで?!やった!」 食べて飲んで、じゃれあって、大満足の二人。 (今度こそ露天風呂に…)と決意のマサハルであった。 がんばれ、マサハル!あきらめるな、マサハル! |
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