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| 冴子、麗子、京香の「やるわね、北志賀」 | |
★北志賀高原のMAPはこちら![]() 大学時代の同級生の三人。今はそれぞれに家庭に入り、幸せな生活をしています。 週に一度は集まって東京は食べつくし、行きつくした三人は、新たなエリアの拡大を試みます。都会生まれ都会育ちの三人の北信州の旅は? (ご主人、お仕事ごくろうさまです…) |
「ちょっと、知ってる?猿のくせに温泉に入るらしいわよ」![]() 「えー?だって、猿なんでしょ?」 「まさか、あたしたちと一緒に入るわけ?!」 「えー?!そんなことないでしょう?だって、猿よ!」 「そうよねえ!」 「まさか、こんなこんな遠くまで、猿と一緒にお風呂に入りに来たわけじゃないわよね!」 さっきから、ああだこうだと騒いでいるのは、東京から来た、冴子、麗子、京香の三人。 大学時代の同級生で、今はそれぞれに結婚して幸せに暮らしている(と思う)。 冴子は商社マンの夫と社内恋愛、麗子はスチュワーデス時代にパイロットを射止めて、京香は銀行勤めのあと、お見合いで会計士と結婚した。 それぞれに子供もできて、今は毎日のように都内でのランチを楽しんだり、ショッピングをしたりと、優雅な生活。 満ち足りた都会で生まれ育った三人が、どうして北信州に遊びに来たかというと、麗子の一言からだった。 「飽きたわ」 「え?」 「もう飽きたの。毎日どこのホテルでランチにするとか、どこそこの新しいお店とか」 「だって、麗子がいつも言い出すんじゃないの」 「だから、それに飽きたの」 一体どうするつもりかしらと、冴子と京香は顔を見合わせる。 「こんな人込みの中に毎日いるなんて、もうたくさん!もっと雄大な自然の中に行きましょうよ!」 おそらく、三人が考えている信州とは、都会の便利さのまま、周囲だけが緑に囲まれた楽園。地面はすべて舗装されて、虫は決していない。電車やバスやタクシーは自分たちの都合のよいように周回してくれる。 さて、どんな旅になることやら…。 「お客さん、どこ行くか、はやく決めてくださいよ」 「あらっ!いいじゃないの、メーターまわしといてよ」 「もったいないじゃないの、せっかく来たのに」 「そうよ、麗子、はやく決めなさいよ」 「あらっ!私が決めるの?」 「そうよ、麗子が来たいって言ったのよ」 「そうね、わかったわ…」麗子はバッグから旅行雑誌をみて、おもむろに 「善光寺に行ってちょうだい」 「えー?!お客さん何言ってるの。ここは山ノ内町なんだよ!」 「?」「?」「?」 「あー、もうあんたたち、何もわかってないね…。じゃ、オレ適当に案内するからさ」 「そう、じゃお願いね」勝ち誇ったように麗子は言って冴子と京香を見た。 「さ、ここで降りるよ。竜王ロープウェイに乗るからね」 「あら、いいわね。おいくら?」 「おいくらって…、自分たちでチケット買ってきてよ。オレは添乗員じゃないんだからさ」 「まっ!」三人はこつこつとヒールを鳴らして、チケットを購入しに行った。 「…あんな細い足でだいじょぶかね…」 竜王マウンテンパーク内にある竜王ロープウェイ「べセル」は全長2,292m、166人乗りの大規模なもの。約8分をかけて山頂まで一気にあがる。北信州を一望できる雄大な大パノラマに息を呑む。 「まあっ!見て!全部山だわ!」 「すごいわね!あの運転手さんもなかなかやるわね」 「そうね。これは乗る価値があるわよ!」 まず、続く山並みがまるで映画のように思える三人。そして、その濃い緑の絨緞が覆う厚さにも、現実味を感じられないほど驚いている。 「キレイね」 「ええ、思い出すわ、コペンハーゲンへのフライト…」 「麗子、国内線じゃなかった?」 「まっ!」 山頂に着き、北アルプス、北信五岳の眺望をあらためて堪能した三人は、ほっと一息 「お茶にしましょ」 することにした。 標高約1,800mの山頂駅となりレストランの「シャルム」に腰を落ち着けた三人。 京香が「ねえ、そば打ち体験ってあるわよ」と興味深げに言った。 ![]() 「え?」「え?」と麗子と冴子も興味津々の様子。 「おそばは好きよ」 「主人が、以前に家でうどんを打ってくれたわ」 「でもこれはそば」 「そうね…」 こそこそと話し合っていたが、せっかくだからやってみようということになった。 平日で空いていたため、お願いするとすぐ体験をさせてもらえるようだ。 「やだ、ちょっと!爪が折れちゃったわ!」 「あれあれ、あはははは!」と地元のそば打ちの名人の奥さんが笑う。 「そんな長い爪して、台所仕事してるの?」 「ええ、まあ」 「冴子はほとんどやらないのよ」こっそり京香が言う。 「そうよね」と麗子もうなづく。 「ちょっとかわってちょうだい!京香がやろうって言ったのよ」 「あら、いいわよ」 「…あらま、こちらの奥さんは上手だね」 「そうかしら」 「うん、器用だね」 「あら、そんなぁー」 得意げに京香は頬を押さえてほほほっと笑う。そば粉が真っ白に顔につく。 「ばかね、京香。顔が真っ白よ!」冴子がとっさにハンカチを出して拭いてあげると 「あら、広がっちゃったわ」 「ちょっと、ひどいわ!」 「あっ!ごめんなさい、お化粧が落ちちゃった」 「ええ?!ひどいわ、冴子」 「ちょっと、奥さん、早くそばのさなきゃ!」 「やっぱり、私の出番ね」と勝ち誇ったように麗子が言って、そば打ち代の前に正座をした。「おいしいわ」 「おいしいわね」 「そうね」 「見かけじゃないのよ」まだそば粉が残る指先で冴子が示す。 「そうね!」 普段、盛り付けが、お皿が、とうるさい三人も自分たちで苦労して打ったそばを食べ、その美味しさに、興奮している。 「はやそばって何かしら?」 「はやそばっていうのはね…」と親切な奥さんが教えてくれる。 「昔、米が満足に採れなくてそばを主食にしていたころ、農作業も大変で、手軽においしく食べられるように、工夫されたそばの食べ方なの」 「ふうん…」 「食べてみる?普通のそば切りと違って、大根なんかの野菜を煮て、そこにそば粉を落とすの。で、かきまわして、できあがったらツユにつけてさっと食べる」(特集記事をご覧ください) 三人が始めてたべたはやそばは、それまで知っているそばとはかけ離れたもの。 「でも、そばの味がするわ」 「そうね、これは飽きないかも」 「大根がいいわね。歯ざわりが」 さすが自称グルメの三人は口々にほめたてて、ぺろりと平らげてしまった。 「散歩がてら、歩いておりましょうよ」 「そうね、おなかもいっぱいだし」 うっかり、歩くことにしてしまった三人。都会の5kmと山のkmの違いを頭に入れていなかった…。 「いたいいたいいたい…!」 「血がでたわ!」 「あっ!いた!運転手さーん!」 「えっらい、遅かったから、まさか、歩いてんじゃないかと思ったけど…、ほんとに歩いたんだ?なんて、馬鹿なことしたの?」 「馬鹿はひどいじゃないの!」 「だって、その靴で登山道降りるなんて、普通はしないよ」呆れ顔の運転手さんがため息をつく。 「最初から教えてくれればよかったじゃないの」泣きそうな顔で麗子が言う。 「やれやれ。まあ、無事だったからね。なに、上でそばでも打ったの?」 「まあ、どうしてわかるの?」そう聞く京香の目尻にはまだそば粉がついていた。 信州の味覚と自然を存分に?味わった三人を、今夜の宿泊先の「ホワイトイン北志賀」に送り届けた運転手さん。 「明日は、9時にお願いね」と麗子に言われてがっくり。ずいぶん気にいられたものだ。 『ホワイントイン北志賀』 チロル風のリゾートホテル。木立の中、静かに佇んでいる。 ダイニングは木と石を基調にした贅沢なつくりながらも、温かみのある雰囲気を醸し出す。 客室もシックな色調の落ち着くデザインで、都内のホテルを知り尽くした三人も 「やるじゃない」 「そうね」 「ま、いいでしょ」と満足な様子だ。 「お風呂はいりましょうか」 「そうね」 「展望露天風呂があるらしいのよ」 「まあ、いいわね!」 「夕陽が眺められるらしいわ!」 薬湯展望露天風呂はその眺望のよさが人気。高原の風を頬に涼しく受けて、三人はのびのびとお湯につかる。 「ふう、ヨーロッパのスパリゾートを思い出すわ」 「あら、麗子、国内線じゃなかったの?」 「まっ!」 薬用ミネラル温泉は天然温泉以上の効能があり、体の中からほぐれていく。 ![]() ホワイトイン北志賀には、ヘルシーガーデン「シュロス」の中にジャグシー&プールもあり、夜も泳げるとのこと。ホテルにはプールはつきものでしょう?と水着を持ってきていた三人。まさか、北志賀のホテルの夜を、プールで楽しめるとは思わず 「やるわね…」とまた一本とられた様子だ。 ディスコ&カラオケの「ルシャレ」も夜を楽しむにはもってこいの場所。 「やるわね、ホワイトイン」 「やられたわ」 「まだまだよ」 「そうね、食事よ」 竜王高原の自然の恵みを使い、一流のシェフが渾身こめて作り出す料理の数々。 自他共に認めるグルメの三人を黙らせることができるのか。 いかに新鮮な食材があっても、それを扱うシェフの腕がなくては料理としては成り立たない。ホワイトイン北志賀には、その両方が完璧なまでに揃っている。 「やるわね」 「そうね」 食の在り方を見直す「スローフード」。旬の素材にこだわり、心にも体にも元気を与えてくれる、そんな料理を提供してくれる。 厳選されたワインを片手に、都会では味わえない雰囲気に酔い、三人のブルジョワジーな夜が更けていった…。 ゆったりとした客室でくつろぐ三人。 話題は東京に置いてきたご主人と子供たちのことかと思いきや… 「やっぱり、一番もてたのは冴子ね」 「そんなことないわよ、けっこう、京香も人気高かったのよ。京香は気がつかないだけで」 「そうだったの?もったいなかったわぁ」 「冴子は年下にもてたわよね」 「麗子だって、あのほら、法学部の男の子!」 「ああ、ああ! 田之脇くんでしょ?!かわいかったわぁ」 「ほんとは、なんかあったんでしょ?」 「ないない、ないって」 「冴子がスキーに行ったときに知り合った京都の大学の…」 「ああ! あのひと彼女いたのよ」 「二股?!」 「そうよ、私としたことがっ!」 「許せないわよね。こっちが二股かけるならともかくっ!」 「そうよねえ。でもね、私、フライトのときにハリソン・フォードに声をかけられたの…。不倫でもいいと思ったわ」 「麗子、国内線じゃなかったっけ?」 「まっ!」 きのうのそば打ち体験で、すっかり「そば通」になったつもりの三人。 「運転手さん、今日はそばでお願いね」 「…はい、かしこまりました」運転手さんもすっかり低姿勢になっている。 「そばといえば、面白い店知ってましてね。きのう、予約入れときました」 運転手さんが連れていってくれたのは 「電気屋さんじゃないの?!」 「いやいや、そばなんですよ」とにやりと笑う。 「電器屋でそば?」 「やるわね」 「計り知れないわ…」 『北志賀家電そば部』 はその名のとおり、「北志賀家電」のなかにある「そば部」だ。 「そば部長さんはどちらかしら?」 「奥さん、何いってんの…。ここのそばはね、絶対食べておきな」 普通の家に入っていって、そばを食べる感じで、三人は少しおどおどしている。 「本当に、いいのかしら?」 ざるそば一品のみのこの店は一日4〜10名限定のそば。 そば好きの奥さんがはじめたそばは知る人ぞ知る隠れそばと言える。 ご主人が栽培したオヤマボクチを(ヤマゴボウの葉)をつなぎに使い、そのつるっとした食感に三人は驚く。遠方からも口コミで「そば部」のそばを食べるためだけに北信州を訪れるひとがいるという、まさに「計り知れない」そばだ。 「さて、きのう、無形民族文化財のはやそば、食べたんでしたっけ?」 ![]() 「え?そんなすごいものだったの?!」 「はやそばはさ、オレら地元のものにしてみれば、昔からの食べ物だけど、今は逆に、食を見直す時代でしょ?そういう昔のひとの知恵とか、栄養の取り方とか、大事になってきてんだよ。わかる?」 「まっ!わかりますわよ!」 「何でも買える時代だからこそさ、そこにあるものを味わうことの大切さっていうかさ。 自然と共存して、必死に生きてきたひとたちの知恵がさ、無形民族文化財になってるなんて、オレは嬉しいね」 三人は誇らしげな運転手さんの横顔を見ながら (やるわね、はやそば)そう心の中で思っていた。 「奥さんたち、オレに「そば」って言ったね?そばでお願いって言ったね?」 「ええ、言ったけど…」 「もう、ラッキーだよ!奥さんたち!このへんでオレほど「そば」な男はいないよ!」 「そばな男?」 「じゃあ、次は、ね。そうだ!やっぱ、はやそばって言えば、あそこだね…」と一人納得して、運転手さんが向かった先は…そばの庄須賀川本そば『栄忠』 。 やはりオヤマボクチをつなぎに使った栄忠のそばは、細めでありながらしっかりとした歯ざわり。無形民族文化財指定の「はやそば」も楽しめる。 「なんか、私的には、この切ったそばとはやそばは、別物だわ」 「そうね、同じそば粉を使ってるのにね」 「不思議ね」 「それはつまり、両方食べられるってことかね?別腹っていうでしょ?」運転手さんに言われて、三人は顔を見合わせて笑った。 「やるわね、運転手さん」 栄忠ではせっかくここまで来てくださるお客様に、そばだけでお腹いっぱいになって欲しい、とボリューム満点。そんな優しい気持ちも人気の秘密だろう。「腹もいっぱいになったし、少し歩いてもらうかね」 「また歩くの?」 「あんたたち、今度来るときはそんな高いかかとの…」 「ヒール!」 「…ヒールの靴はいてきちゃだめだよ」 「だって、コーディネイトってものがあるでしょう?」 「コーデなんとかってのは、オレにはわからないけど、せっかく来たのに楽しめなきゃ、かっこつけても意味ないっしょ?」 (確かに…) (それは言えるわ) (やるわね、信州の男) 三人は運転手さんになだめすかされて、アワラ湿原の周囲2キロのハイキングコースを歩くことにした。 「ここは春先は水芭蕉が咲いてきれいなんだ」運転手さんは植物にも詳しく、三人に北志賀の自然について説明してくれる。 「コマクサって花知ってるかね?ピンクのかわいらしい花。あんたらもそんなころがあったんだろうねえ」 「まっ!失礼な」 「あはははは!ニッコウキスゲは黄色い鮮やかな花だ。あれが咲き出すと、これから暑くなるなって、オレはいつも思うんだ」 「よく知ってらっしゃるのね」 「らっしゃるほどじゃねえけど。昔から住んでいれば、花ぐらい覚えるさ」 少し照れて足早になる運転手さん。 「いたっ!いたたたた!」 「京香、だいじょうぶ?」 「だめ、くじいちゃったみたい…」 「えー?!」 「とても歩けないわ…」 「そうよね」 「どうしましょう?」 三人のコマクサが運転手さんを見上げた。 「あんた…、意外と重いね…」 かたむきかけた太陽と、京香を背負って運転手さんがやっとの思いで歩いている。 「そば食べたからかしら?」とうそぶく京香。 「頑張って、あと少しよ!」 「運転手さん、夕飯にはちょっとはやいけど、私たちが何かお礼をするわ」 汗だくのシャツをパタパタとふるって運転手さんは嬉しそうに 「そうかね、じゃ、オレ、好きなラーメンがあるんだ。そこに行こうか!」 『クラシックジョイント』 は白壁のお洒落な建物。一見、レストランかペンションかと思うが、豊富なメニューで食事全般を取り扱っている。 運転手さんのおすすめはチンジャオラーメン。三人も揃っていただくことに。 ![]() 「いやいや、汗かいた」 「悪かったわ」 「助かったわ」 「ほんと優しいかたね」 久しぶりに女性三人に賞賛のまなざしでみつめられた運転手さん。 つい、うっかり言ってしまった。 「今度来たときも、オレが案内してやるから!」 この言葉を彼は数ヵ月後に後悔することになるのだが、それはまたこの次のお楽しみ…。 |
竜王ロープウェイ ![]() ホワイトイン北志賀 ![]() 北志賀家電そば部 打ちたてのおそば 栄忠 クラシックジョイント |
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